研究概要 |
わが国では, 合板原木用の南洋材大径木の供給が困難になるに伴ない, スギ・ヒノキ・カラマツ等の針葉樹門伐小径木の有効利用を図るために, これらを原木とした合板やLVL・LVBの製造が注目されてきている. これら針葉樹小径木の単板切削を行う場合には, 節を切削することによる刃先の損傷や刃詰りが大きな問題となる. これらの問題点に対する対策として, 節の切削に対して効果的なマイクロベベル付きの刃物の形状と, バーのセッティングの容易で刃詰りが起きにくいと思われるフローティングバーを用いた単板切削について検討した. 〔供試材〕 試験片には, 節の木口切削を想定して, スギの枝材をマカンバの横切削用の試験片の間に挿入接着したものを用いた. ナイフ材種はSKH9を用いた. 〔結果〕 1) 切込量1mm(気乾材)で切削しても刃先が損傷しないような直刃の刃物角は30°であった. この結果からマイクロベベル付きの刃物のマイクロベベルアングルは30°で一定した. 2) 切削角が単板品質に与える影響について調べた結果, この結果と現場では刃物角約20°の刃物が使用されることが多いことからメインベベルアングルの水準を12, 14, 16, 18, 20(°)とした. 3) メインベベルアングルとランド幅(0.1〜0.4mm)を変化させ切削を行ない, 刃先の状態(切れ刃線粗さ, 刃先丸味半径, 条切り値)・切屑の状態(カール半径, 裏割れ, 切屑の表面粗さ)・切削抵抗から判断して, 切込量2mm(飽水材)ではメインベベルアングル16°でランド幅0.1mmの刃物が適当であった. 4) フローティイングバーは単板品質の向上に対して有効に作用し, 適切なバーの先端角は70〜75°付近である.
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