研究概要 |
イカ釣漁船における漁業情報の利用状況を把握するため、兵庫県香住漁協および新潟県両津漁港所属のイカ釣漁船(香住船25隻,両津船11隻)からアンケート調査を行った。その結果、1.船間連絡(QRY)は香住船で5〜30隻,両津船で3〜10隻と交信し、両船共定時に交信している船が多い。船間連絡情報によって操業位置を決めるとき、最も重要とするのは他船の漁獲状況と操業位置の情報であった。2.出港前及び沖出し中に操業位置を決めるとき、最も利用率が高く重要となる漁業情報は、香住,両津船共にQRYによる他船の状況、次いで過去の経験(操業記録)の情報であった。3.今航海における漁況情報の中で最も利用率が高く重要度が1位なのは、両船共に他船の漁獲状況、次いで漁場形成位置の情報であった。海況情報については表面水温、次いで各層水温の情報であった。 漁獲量データベースの作成については、昭和59,60年に日本海で操業した神奈川県船団(25隻)の船間連絡情報資料を用いた。船間では1日6回の交信を行っているが、各船の1回毎の交信資料から操業位置,水温,漁獲量などをコンピュータに入力してデータファイルとし、これから1航海別・旬別に緯度経度15分桝目毎の延操業隻数,総漁獲量を計算、漁場図ファイルを作成し漁獲量データベースとした。次にイカ釣漁場形成について把握するため、漁場図ファイルをカラーディスプレイに表示するプログラムを作成した。このプログラムでは、緯度経度15分桝目毎に1日1隻平均漁獲量を表示することができる。これにより海況との関係を検討してみると、昭和59年では異常低水温のため漁期当初はスルメイカの北上が遅れていたが、その後は例年通り沖合へ急速に漁場が形成された。昭和60年では漁場が北海道の西岸45゜N付近まで達したが、日本海北部海域の水温低下が著しく南下回遊は例年に比べて早まった。
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