研究概要 |
昨年度, および本年度を通して, 二枚網の漁獲特性を調べるため漁獲試験を実施した. 二枚網の大目網の網目を180cmとし, 小目網の網目を3.6, 5.1, 6.8cmの3種, 小目網の各網目について, 小目網のたるみを1.1, 1.5, 2.0の3種, 小目網の網目, たるみを一定にし, 大目網の網目を10.0, 18.0, 30.0cmの3種, 計9種類の構成を変えた二枚網を作製した. さらに二枚網の漁獲と比較するため, 一枚網の網目を3.6, 5.1, 6.8cmの3種, 縮結を0.3, 0.6, 0.8の3種, 網幅を45, 80, 145cmの3種, また, 三枚網の内網の網目を3.6, 5.1, 6.8cmの3種, 各内網の網目に対して, たるみを1.1, 1.5, 2.0の3種, その他を含めて総計30種類の網を用い東京港内で実施した. 昭和62年には羽田空港拡張工事と, これにともなう船舶の出入のため, 魚群が散逸し十分な漁獲が得られなかった. 両年を通して得られた結果は次のとおりである. 1.漁獲の主対象魚はコノシロであり, 漁具構成により差はあるが, 二枚網の漁獲数は三枚網, 一枚網の漁獲数上りを多い. 2.二枚網でたるみが1.5の場合の小目網別の選択性曲線を計算した. 小目網3.6cm目網の最適体長は14cm, 5.1cm目網で19cm, 6.8cm目網で25cmとなった. また, 小目網5.1cm目網でたるみ別に選択性曲線を計算したが, たるみによる選択性曲線には差は少ないようである. 3.三枚網の内網のたるみ別の選択性曲線と二枚網のたるみ側の選択性曲線とを比較すると, 三枚網ではたるみが多いほど, 曲線の鋭さが鈍くなるが, 二枚網の場合にはこの傾向は無い. 一方, 二枚網, 一枚網, 三枚網とも一定の網目に対して小型の個体に対しては, 鋭い選択性を持っている. ら4.二枚網の漁獲が一枚網, 三枚網の漁獲に比較して多い理由について調べるため, 実験漁場の潮流結果, 回流水槽内での網成りの測定結果, 網成りの理論計算などにより解析を行ったが十分な結果は得られなかった. 今後, 刺網に刺す魚の挙動について詳細に観察する必要がある.
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