研究課題/領域番号 |
61560209
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 東京水産大学 |
研究代表者 |
井上 実 東京水産大学, 水産学部, 教授 (20017007)
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研究分担者 |
町井 紀之 東京水産大学, 水産学部, 講師 (60181666)
有元 貴文 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (20106751)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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キーワード | 学習放流魚群 / 音響刺激 / 視覚刺激 / 視覚運動反応 / 視覚スクリーン / 回収実験 / マダイ / イシダイ |
研究概要 |
〔目的〕音響刺激に併せて、魚の視覚運動反応を利用した視覚刺激装置(以下、スクリーンという)を用いてイシダイOplegnathus fasiatusの成魚及びマダイPagrus majorの幼魚に学習付けを行い、学習魚群をこれらの刺激により回収することの可能性について基礎的実験を行った。 〔方法〕実験は1986年(イシダイ150尾)、87年(マダイ170尾)、88年(イシダイ80尾、マダイ200尾)の3ヶ年にわたり、本学坂田実験場の屋外水槽(18×8×1.3m)で行った。音響は周波数500Hz、5秒間発信後2秒間の休止をとる断続音を用いた。スクリーンは直径1m、高さ1mの鉄棒製円筒体で、8本の支柱及び中心軸に白黒の縞模様を作り視覚刺激とした。これをフロートにより水槽中に設置し、モーターによって回転し、スクリーンの回転時に餌を与へ、あるいは音響発信時に給餌して、音響やスクリーンに学習付けを行った。学習実験は学習が獲得されたと思われる時点で休止期間をとり、学習保持の状況を調べた。また環境に変化を与えて学習強度の判定を行った。 〔結果〕聴覚と視覚刺激の複合刺激による学習付けはイシダイ及びマダイともに訓練開始4〜5日以後に効果が現われた。この学習保持は、イシダイではマダイより強い傾向がみられたが、それはイシダイのスクリーンに対する生得的な視覚運動反応の強さによるものであろう。学習状況の分析ではイシダイ及びマダイともに視覚刺激と聴覚刺激のみではなく、それらに加えてフロートの存在及びモーター音等の要因が刺激となり学習されていたと推察される。また、実験水槽を変え環境に変化を与えた場合、イシダイでは刺激に反応し集群する迄に1日を要したが、マダイは1〜2時間であった。これらの実験結果から、学習放流魚群の回収には従来使用されている音響刺激に加え、本実験に用いたような視覚刺激を合せて複合刺激として利用することが、回収効果を高める一つの手段と考えられる。
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