研究分担者 |
神原 淳 三重大学, 生物資源学部(水産学部), 助手 (90183334)
新井 茂 水産庁, 養殖研究所・繁殖生理部, 室長
ARAI Shigeru Director, Laboratory of Reproduction, Reproduction Section, National Research In
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研究概要 |
養殖魚用の配合飼料や試験用精製飼料の嗜好性改善を目的として餌生物エキス成分のブリ及びアユに対する摂餌刺激効果と味覚・臭覚器刺激効果を調べた. [ブリ](1)スルメイカ筋肉水抽出エキス及び既往の分析値に基づく合成エキスを澱粉に添加して投与したところ, 両者ともよく摂取された. (2)合成エキスの成分を5群に分けてオミッションテストを行った結果, 味覚器に刺激効果のあるアミノ酸群及びヌクレオチド群がスルメイカ筋肉の主な摂餌刺激成分であると推察された. (3)味覚器を刺激せず, 摂餌刺激効果もないアミノ酸群に対し嗅覚器はよく応答した. また, 嗅覚器の合成エキスに対する応答の閾値は味覚器のそれより1,000倍低かった. これらのことから, 嗅覚は探索行動などにより重要な働きをもつのではないかと推測される. (4)マアジ筋肉水抽出エキスと既往の分析値に基づく合成エキスには摂餌刺激効果に差がみられたことから, 生エキスには合成エキスには含まれない, 有効成分が存在することが示唆された. (5)スルメイカ・マアジエキスとも1/10濃度に希釈すると摂餌刺激効果は著しく低下した. [アユ](1)アユの味覚器はArg,His,Phosphoserine等のアミノ酸によく応答し, Arg,Hisの閾値は10^<-6>〜10^<-5>Mであった. AMP,CMP等の核酸関連物質にもよく応答した. (2)付着藻類からエキスの抽出を試みた. アミノ酸では抽出方法によって濃度は異なったが, Ala,Glu,Gly,Val等が比較的多く, 核酸関連物質ではUridine,Citidine,CMP等が含まれていた. (3)付着藻類及びその抽出エキスを基本飼料に添加すると摂餌量が顕著に増加した. (4)アミノ酸を純品を用いてエキス中の濃度で飼料に添加したところ摂餌量は僅かに増加した. このことから, 抽出エキスの効果はアミノ酸と他の成分の協同作用によるものと推察された.
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