研究概要 |
コイの補体第1成分(Cl)を次の操作(1〜4)によって精製した。Clの検出にはカラゲニン処理コイ血清(Cl以外の全補体成分を含む)を使用した。 1.ブルーセルロファインアフィニティークロマトグラフィー コイ血清を20mMトリス塩酸緩衝液(0.4M NaCl,5mM Ca【Cl_2】,0.2mM PMSF,pH8.3)で平衝化したブルーセルロファインカラムに添加し、同緩衝液で洗條後、1.8MNaClを含む同溶液を用いてCl画分を溶出した。 2.QAE-セファデックスクロマトグラフィー 上記Cl画分を濃縮後、20mMトリス塩酸緩衝液(140mM NaCl,5mM Ca【Cl_2】,pH8.0)に対して透析し、同緩衝液で平衝化したQAE-セファデックスカラムに添加し、同溶液でClを溶出した。 3.セファロースCL-6Bクロマトグラフィー 上記溶出液を濃縮後、2で用いた緩衝液で平衝化したセファロースCL-6Bカラムに添加し、同溶液を用いてゲル濾過を行ない、Cl画分を集めた。 4.DEAE-トヨパール650Mクロマトグラフィー 上記Cl画分を20mMトリス塩酸緩衝液(60mM NaCl,5mM Ca【Cl_2】,pH8.3)に対して透析し、同緩衝液で平衡化したDEAE-トヨパールカラムに添加し、同緩衝液とNaCl濃度を120mMとした同緩衝液との間で塩濃度勾配をかけClを単一タンパクピークとして溶出した。 コイ血清500mlから約6mgの精製Clが得られた。Cl活性の最終回収率は12〜16%であった。精製Clは免疫電気泳動的に純粋で、分子量102万であった。この精製Clは【Ca^(2+)】存在下においてのみEA(コイの抗体で感作したヒツジ赤血球)と反応し、熱処理(50℃,15分)ないしカラゲニン処理によって容易に失活した。コイのClはまたEDTA存在下で3〜5個のサブコンポーネントに別れるが、哺乳類のClと違ってEDTAに対して不安定なため、現在のところ、正確なサブコンポーネント数およびそれらの分子量の決定までには至っていない。今後更に研究を続ける予定である。
|