研究概要 |
Streptomyces olivaceogriseus sp.の培養液から抽出された免疫活性ペプチド、heptanoyl-γ-D-glutamyl(L)-meso-diaminopimelyl(D)-alanine(FK-565)を1mg/kgの割で感染1日前に腹腔内に接種したニジマスは、Aeromonas salmonicida強毒生菌の攻撃に対して強い感染防御能を示すと同時に食細胞の貪食能を亢進させる作用を有することをみいだした。そこで、FK-565のニジマスの食細胞貪食能の活性化機構を解明するため、活性酸素能に及ぼす影響についてはTD-400を用いた化学発光法により、走化性に及ぼす影響については、Boydenのchamber法により比較検討した。化学発光法の試験方法は、実験開始3日前に20%proteose peptoneをニジマスの腹腔内に約1mlずつ接種し、その後2日目にFK-565を1mg/kg,B.W.になるように腹腔内に接種した。翌日MS-222で麻酔し、100U/ml加Hank's液を腹腔内に注入し、腹腔内食細胞を収集した。5mM HEPES-buffer加Eagle's minimum essential medium(MEM.pH7.4,フェノール不含)を用い、10×【10^6】cells/mlの濃度の食細胞浮遊液を作成した。またホルマリン不活化A.salmonicidaを5mM HEPES加MEMに1.0×【10^6】cells/mlの濃度(【OD_(620nm)】;0.4)に調整した菌液を準備した。プラスチックセルに細胞浮遊液200μlを注入し、luminol(片山化学)原液をMEMで5倍に希釈したもの100μlを同セルに添加し、20℃で30分間作用させ、基底値が一定になったところで細菌浮遊液200μlを添加して測定を開始した。FK-565処理群由来の食細胞浮遊液では、3分から4分の間で最大の活性値を示したのに対して正常対照群由来の食細胞浮遊液では4分前後にピークが出現したが、そのCPMはFK-565処理群の方が明らかに高い値を示した。走化能試験では、FK-565処理群と正常対照群との間に有意差は認められなかった。
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