研究概要 |
本研究は資源・省力型底びき網のモデルとして採択した大目合網と離底網の実用化試験をけ総合的に行なったもので, 大目合網は3000トン型トロール網の1/15と1/60の模型網の水槽実験と曳網実験を, また離底網は80トン型小型網の1/13と1/15の模型網の水槽実験と実用網の海上実験を, 860トン型中型網の海上実験を2年間に互って行なった. 模型実験は網口高さ, 網成り, 網抵抗を, また海上実験は漁獲比較試験と併せて, 網口高さと各漁具の張力を, 水中テレビカメラで漁具の動態を夫々測定もしくは観察し次の様な結果を得た. 1.大目合の網成りは網地の装着場所の後方部が脹らむ現象がみられるが, 高速ではほとんど原型網と同一の網成りとなる. 即ち大目合の網地を多用しても網成りはほとんど変らず, また抵抗も若干減少することを確認した. 2.離底網は着底網に比し網口高さは変わりないが, 抵抗値は実測でも10〜15%減少する. また大型の入網魚が多く, 石, 海綿動物, 〓皮動物のような非有用水族はほとんど入網しないことがわかり, 離底網は本研究の目的とする網として充分の能力をもつものと云えよう. 3.網の各部の抵抗測定の結果は, 網抵抗が全体の約70%を占めることがわかったが, オッターボードと各曳網の抵抗の配分が明らかとなった. 4.水中テレビカメラ撮影の結果は, 曳網中におけるオッターボードと網の動態を鮮明な画像として捉えることに成功し, 略その全貌を明らかにすることが出来た. 特に, 離底装置の垂らしチェーンの形状は電算機の計算による形状と略一致しており, また沈子網が理想的な懸垂曲線をなしていることを確認した. 次で網口前に密集した魚群の入網のメカニズムを解明し, オッターボード及び袖先部の鉄球と沈子網に装着した垂らしチェーンより発生する大量の砂煙が, 魚群の誘導, 威嚇及び入網に大きく関与していることを明らかにした.
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