研究概要 |
駿河湾内でサクラエビ漁,底刺網漁を行っている由比漁協,大井川漁協および漁業者に依頼して、混獲されたラブカの収集を行った。また、昭和61年7月に2回、昭和62年2〜3月に6回漁業者に依頼して、ラブカ収集の為の調査操業を行った。 1.昭和60年4月に4尾、,5月に30尾,6月に23尾,11月に1尾,12月に2尾,昭昭62年1月に5尾,2月に10尾,3月10日までに4尾,合計79尾のラブカを入手した。これらの性別,体長・体重範囲は雄43尾,1200〜1559mm,3420〜7400g,雌36尾,1256〜1810mm,3690〜17370gであった。 2.精巣を組織観察すると、左右各葉の縦隆起線から扇状にfollicleが規則正しく並び、精巣間膜側のfollicleに精子が見られた。卵巣は左右ともに機能的であり、発達した卵は直径10cm以上になる。子宮は右子宮のみに卵が入っている。排卵している個体の右卵殻腺は左のものより大きく、これを組織観察すると、内部に精子を持っているものがあった。 3.貯精のうには、全ての月で精液が見られ、組織像にも月による大きな相違はなかった。雌では、12月から6月の間に直径60mm以上の卵を持つ個体が、1月から6月の間に受精卵をもつ個体が連続的に採集できた。5月と6月に採集された胎仔全長20〜550mmまで、ほとんど連続的に出現していた。本種の卵巣卵は直径90mm以上で排卵され、排卵期間は1〜6月と長期にわたると考えられた。 4.消化管が空の個体が多かったが、イカ類および魚類が検出された。 5.7月に実施した刺網による調査操業、および2〜3月に実施するサクラエビ漁船による操業調査のうち、3月10日までに実施した3回の調査では、目的とする標本を採集することはできなかった。
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