研究概要 |
本研究は、青果物の市場出荷に際し、迅速に適切な情報を提供し、流通の合理化を図るための短期的な出荷調整モデルを作成をすることを目的とする。 そのため、初年度ではまずモデル作成に必要な基礎分析を通じて、青果物流通における価格形成メカニズムの解明を行い、さらに、季節的生産物の価格変動の分析に必要な時系列解析を試み、価格変動諸関係を明らかにした。 その結果季節変動については、入荷量,卸売価格とも、固定型のみならず、可変型で促えることが必要であること、さらに変動パターンとしては、単峰型,複峰型,不明瞭型のタイプのあることが判明した。傾向変動については各種傾向線の中から、3次多項式曲線のフイットが勝れていることが確められた。また循環変動分析では、ラグ打ち切り数に有益な手掛りとなるコヒグラムの改良型の開発を行った。これによって適確なラグ打ち切り数の確定が可能となり、循環変動の分離抽出に一層の効果が期待できる。 一方、価格形成モデルに欠かすことができない価格と需要の相互依存関係の分析については、季節的生産物という特異変量を季節ダミー変数として取り扱い、それによって季節的生産物固有の需要関数を推計した。その結果、青果物については全般的に自己価格弾力性が0.2〜0.4の範囲にあり、所得弾力性については大きいものでも0.25程度で、今後の所得拡大に伴う需要増は、それほど期待できないことなどが判明した。なお、時系列変動相互間を解明するコヒーレンス分析については現在作業中である。 こうした青果物の市場入荷量と市場価格形成ならびに変動の実証的基礎分析を踏えて、価格変動の安定化を狙った市場間出荷調整モデルの精緻化を図るために、第2年度では、初年度の基礎分析の上に、主要卸売市場の日次データをモデルに導入し、全体のシミュレーション計量モデルとしての完成を目指す計画である。
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