研究概要 |
1.研究の経過 沖縄本島における農地相続慣行と農地の所有構造に関する調査を行った. 調査を実施した集落は, 本島南部--知念村久手堅, 同久原, 本島中部--石川市嘉手苅, 具志川市川田, 本島北部--国頭村比地, 本部町大堂の6集落である. また奄美諸島における農地相続慣行と農地の所有構造に関する調査(63年度予定)のための予備調査を行った. なお, 沖縄本島周辺離島, 都市化が進行した地域の集落については, 調査を計画した時期に天候の不順が続いたこと(離島), 調査対象地区を変更した(都市化地域)ことなどから2月末までに調査を完了することが出来なかった. これらの地域については3月に実施する予定である 2.研究の成果 沖縄本島における農地の相続慣行も基本的には男子分割的であることが認められた. その主な特徴点は次のとおりである. (1) 相続の慣行は基本的には男子分割的であるが, 分割の事例は宮古, 八重山地方に比べれば少ない. (2) 旧集落と屋取集落の間には大きな差異は認められなかった. (3) 位はい(トートーメー)の男子承継の観念が強固である. トートーメーには財産(通常, 農地)が付随する場合が多く, 子供が女子のみの場合その家の財産が位はいとともに他人(多くは近い親戚)に渡る例もみられた.
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