研究概要 |
畜産大学実験圃場内に設置された試験区で、積雪を排除し、冬期の寒冷気候を充分に利用し、土壌凍結深さを増大させる試験を行った。その結果、凍結深さは、2月25日に最大78.0cmに達した。1985年は最大値80.2cmが2月14日に、そして1986年は最大値83.5cmは3月1日に発生した。これより、今年度は多少最大値が小さな傾向があったのは、多少暖かな冬であった事から、積算寒度が小さかったためである。融解を防止するため、例年より若干早く3月7日に、土壌表面に厚さ20cmの断熱材を敷設したので、凍結層の保存が開始され、現在実験は進行中である。85年は6月24日に、86年は6月20日にそれぞれ凍結層が消失していることから、今年度も同様に6月中〜下旬に消失が起るとも考えられる。他方、ヒートパイプを利用した凍結土層の造成試験によると、2月に地下4mに凍結層が形成されたが、3月になり下方からの地熱の増加と気温の上昇によって消失し始めた。この事から、ヒートパイプ周辺の1mの厚さの凍結層が形成された事実は地温データからも明らかであり、寒冷気候の利用により地下に凍結層の形成が成功し、その実用化が可能となった。次に、土壌凍結の熱的解析の手法として、熱伝導式の差分法による数値解析を試みた。差分法はクランク・ニコルソンの陰解法を用い、境界条件に、上部は実測地表面温度を、下部は地中5mの不変温度を仮定した。そして、土壌の熱的性質として、各深さごとにサーマルプローブ法で熱伝導率を測定し、実測値を使用した。この解析方法では、凍結土壌,未凍結土壌および凍結による潜熱発生土壌の3種に分け、その温度範囲を分けることにより、実測値に近い温度変化と分布を得ることができた。潜熱発生の温度範囲が最も影響力の大きい要因である事が分った。この結果より、凍結土層の保存には横方向の熱流により、長期保存の期間が影響受けるため、その対策が必要なことが分った。
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