本研究の目的は、動的限界状態に基づいた土構造物の合理的な耐震設計を実現するために、(1)原位置条件に近いと考えられる繰返し平面ひずみ試験により初期液状化後の土の強度・変形特性を定量化・モデル化する、(2)この構成式を弾塑性応答解析プログラムに組み込んで動的限界状態に対する土構造物の耐震設計を検討することにある。本研究で製作した繰返し平面ひずみ試験機の特徴は、(1)現有の油圧サーボ式繰返し三軸試験機に拘束枠を組み込んだ三軸・平面ひずみ兼用型、(2)試験機にはコンピュータ制御・データ収集の自動化システム、(3)拘束枠はねじれ傾き防止浮動型、(4)ロードセルは自作高性能セル内設置型、(5)供試体寸法はW90mm×D30mm×H70mm、などである。 まず、凍結豊浦砂供試体を用いた非排水平面ひずみ試験による性能試験の結果、他の試験機結果と比較して良好な結果が得られることを確認した。次に、同じ供試体を用いて繰返し液状化試験を行い、三軸試験結果との違いを定量的に明らかにするとともに、従来著者らが提案した複合硬化構成式のパラメータを求める手順を検討した。また、試験機制御用パソコンを使って、試験機の制御・データ収集を行いながら、供試体そのものをシミュレーション要素として数値解析した結果とを直接比較しながら、構成式パラメータを決定するオンライン実験も試みた。現在、結果を整理中であるが、当初の目的である本試験機による初期液状化後の強度・変形特性の定量化に関する成果は十分得られたものと考える。今後、応答解析プログラムに組み込み、実構造物の耐震設計に適用したいと考えてえる。
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