研究概要 |
各種切欠きを有するモルタル供試体を使用して三点曲げ試験及びAE計測を実施して、荷重〜変位関係図から丁積分値を求め、丁積分と応力拡大係数Kとの関係からK値を算出し、AE計測数総数とKとの関係を主として検討した。 AE計測数総数を縦軸に、Kを横軸にとつて計測値をプロットするとき表れる曲線は4つのタイプになる傾向が認められるが、この中2つのタイプは切欠きの成形や計測条件などの影響によるものと考えらる。主として放物線形あるは放物線の途中に棚状部分があるものが表れる。放物線形状のものはAE計数総数Σ(AE)とKとの間にΣ(AE)=α【K^β】(α,βは定数)の関係によって近似的に表すことができる。定数αとβの各供試体に対する相関性は高く、この結果からAEとKとの相関性が高いことが認められる。相関係数が0.95を越えるものについてΣ(AE)とKとの対数をとって一次回帰計算よりβを推定するとβ≒4となり、AE計数総数がき裂長さの2乗に比例することになり大きいき裂ほどAE計数総数への奇与が大きいことが見出される。曲線途中のテラス状部分の有無についての明らかな理由はまだ不明である。モルタルの破壊靭性を評価する場合いずれの点で評価するのが良いかが問題となるが、テラス状部分を示すものについては、AEレイトが一定値から急増する変曲点でのKの値のばらつきが小さいことから、破壊に対する安全性も考慮してこの点が適切と考えられる。 FEM解析によって得られた荷重〜変位曲線から求めたJ値はRICEの方法によるJ値とほぼ一致する。定義径路の積分によるJ値は10%程度小さくなったが、傾向としては十分類似しておりFEM解析によっても十分K値が推定できることが明らかとなった。
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