研究概要 |
マスコンクリート用の代表的コンクリートとしてフライアッシュC種セメントコンクリートを用いて, 材令5, 15, 25日の強度試験並びに載荷応力レベルをその60%として各々クリープ試験を実施した. その結果として, 載荷開始材令の影響については, 応力レベル40%と同様圧縮・引張とも, 単位応力あたりの瞬間弾性ひずみと単位クリープは載荷開始材令が増すにつれて小さくなり, これはコンクリートが硬化しつつある故に, 弾性係数が増加しクリープしにくくなるという以前通りの結果となった. またコンクリートのバイモデュラー性に関してもおおよそ応力レベル40%と同様の結果, すなわち瞬間的変形は圧縮ガスが大きく, それとは反対に時間依存性変形は引張が大きいという傾向を示したが, しかし一部引張クリープ破壊が起こり, その結果特に引張側で定常クリープで有り得ない場合が多くなり単純には比較できない所もあった. 圧縮側ではクリープ破壊を生じたものはなかったがやはり定常クリープとは考えにくい傾向を示すものが多かった. また流連法によるクリープの定式化に関しても若材令と高応力レベルの影響が現われて, その点からも温度応力解析では定常クリープを取り扱うべきであると言うことが明確になった. しかし破壊の定義においては引張クリープ限度が60%以下の可能性があることは重要なことであり, この点についてはさらに実験を重ねて明らかにする必要があるものと考えている. 温度応力解析へのクリープ特性の利用については上記の結果から圧縮側, 引張側に各々のクリープを適用すれば理想的な解析となるが, 解析法の複雑さからどちらか一方のクリープ特性で代表させるのが現実的な処理となろう. 例えば安全側の設計を目標とするなら圧縮側を, 経済性を追求するなら引張側を用いるようにするのも合目的的な考え方である. ただし, 試験の簡単さから言えば圧縮がはるかに優れているのは歴然たる事実である.
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