研究概要 |
本研究は, 感潮河川流域の干拓地, および埋立て地での耕地汎用化を行なうために, 基礎的研究の1つとして地区内の地下水位低下と排水路水位および外潮位との関係を現地実験を行ないながら, 数学的モデル化をも加えて解析しようとするものである. 昭和62年度は, 2年目であるが現地状況をさらに詳しく調査するために前年度と同様に, 地下水位(地区内37ケ所の観測井にて観測), 排水路水位, 外潮位, 地下水塩分濃度, 降雨量等を測定し, 相互の関係を解析した. また, 昭和62年度は, 幹線排水路の改修工事が行われ排水路底が80cm低下した. その結果, 前年度までは排水が極めて悪い休耕田地区で, 水田や飼料作物畑などができるようになった. しかし, ポンプ排水を的確に行わなければ, 排水樋門の不備から, 逆に満潮時など多量の海水が流入して塩分濃度が高くなる結果も認められた. つぎに, 本調査地区の一部流域において流出率の測定を行なった. この結果, 中安法, 流域関数法, コリンズ法, タンク・モデル法にて流出解析を行い, ほぼ30%〜40%程度の値を確認した. 昭和63年度は, 第1号・第2号幹線排水路内に四角ゼキと水位計を設置し, 本調査全流域での, さらに正確な流出率を求める予定である. つぎに, 地下水位低下とポンプ排水との最適制御法の基礎的な試みとして調査地区の降雨状況から数種類の降雨パターンを推定し, 降雨流入量のシミュレーションを行い, ポンプ機械排水路系に適用し, その時のポンプの運転台数, 運転時間等の変動に伴う機械排水量と地区内排水路目標水位とのシミュレーションを行った. その結果, 種々の条件に伴う排水路内目標水位とポンプ制御のパターンが求められた. 来年度は, さらに本調査地区の現況を把握して, 本調査流域に最も適合するポンプ機械排水の最適制御法を求める予定である.
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