本年度は、最終年度であるが、本調査地区の耕地汎用化のための基礎的資料をより多く得るために、昭和61、62年度と同様に種々の調査測定を継続して行った。そして3ケ年の結果を基に比較検討した。また昭和62年度から始った排水路内の推積土砂の除去および地下水位低下のための排水路修工事前後の状況を比較した。また、約80日間の連続晴天における調査地区内の地下水位や塩分濃度等の変化について、従来の結果と比較解析した。また、最終年度になったが排水路内にセキを設置して、流出量を測定し流出解析を行った。以上の当該年度の結果をまとめると、つぎのとおりである。 排水路改修前後の種々の状況変化を比較すると、地下水位に若干の低下が認められた。そして、塩水遡上の面では、改修後は改修前に比べ約300m程度上流まで塩分の影響が見られるようになった。これは、排水路底の堀削のために水路断面が増大し、塩水が多量に流入したためと考える。また、水路勾配が低下して干潮時での自然排水の際、完全に排除されず塩水の排水路残留があるためと思われる。しかし、地区内の地下水の塩分濃度は、排水路水位の低下のため塩分の溶脱が生じている。このように排水路底堀削工事は耕地汎用化にために効果的であることが認められる。つぎに、80日間連続晴天時には地下水位は最低を呈し、排水路内水位とほぼ等しい値を示した。流出解析の結果、連続晴天後の降雨では、流出率は約40%で非常に低い。しかし、一旦雨が降った後の降雨時には、約80%程度の流出率が認められた。 強制排泄のシミュレーションでは、実測値を加味して解析できなかったが、考えられる種々の条件の基で、洪水時のポンプ運転は、始め数台のポンプを運転して、水位に合せて運転台数を減ずる方が排水路内水位の制御はしやすいことが認められた。
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