共乾施設で生籾の一時貯留を確実かく効率的なものにするため、密閉のみの貯留を試みたところ、嫌気性菌による発酵で変性した。この改善策として籾の水分乾減と穀温降下を本研究に取りあげた。実験は1986〜1988年の3か年間、貯留槽と除湿器を結ぶ循環気系を構成し、貯留乾燥の方法を検討した。 初年度は、層厚0.5m-充てん容量60kgの貯留槽で上向きの通気を試みた。少量通気のため排気側の内壁面に結露が発生し、その吸湿籾にかびの繁殖が観察されて、斑紋粒が多発した。循環気のO_2とCO_2の濃度は大気の状態とほとんど変わらず推移したので、好気性菌の繁殖をうながす結露に特に留意する必要があり、次年度は下向きの通気に変えた。下層の内壁部に生じた結露は自然流下させ、収集排除するようにした。通気量をドライ・ストアの標準の籾100kg当り0.05m^3/sにとり、除湿循環気を連続操作したところ、乾燥と共にかびの汚染もなく貯留することができた。消費電力量の節減を目的として考案した半乾状態からの間欠通気も、2倍の通気量と50%の通気時間割合で品質保全が可能となった。 最終年度は籾たい積高さを実用の1mに上げ、通気量を0.025m^3/sとする新たな貯留槽と除湿器からなる実験装置をつくった。初期水分27.5%で重量47.4kgの試料は87.5hで15%水準に達し、乾減速度は0.12%/hであった。除湿器の発生熱は入気側のヘッド・スペースで総て消費され、上槽の急速な水分乾減と温度降下が特徴的であった。したがって上層の過乾による胴割れと下層内壁部の結露によるかび汚染を回避するため、ローテーテョンが不可欠であった。水分1kgを乾減するのに消費した電力量は従来の加熱乾燥機と比較して低く、0.992kwh(3.573MJ)であった。 今後実用化に当り、除湿器の吸気口前の粉じん除去と除湿器の低廉化の難問題を解決する必要があると考える。
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