研究概要 |
太陽熱利用乾燥装置を試作し、農業廃棄物の乾燥装置としての性能について実験を行い、実用性を検討した。まず太陽エネルギを熱変換して、効率よく利用するためには装置の構造がどうあるべきかについて検討を進め、各地の大学並びに農業試験場等の太陽熱利用装置の見学を行い、文献等を収集して参考にした。装置の設計諸元を決定するため、模型の透明ドラムを用いて、ドラム内の廃棄物の挙動を調べた。廃棄物として家畜糞を供試して実験を行ったが、廃棄物の物性により挙動は異なった。しかしいずれの場合もドラム直径が小さいとドラムの回転により造粒作用を受け、球状に塊りやすいことが判明した。また予備実験等により得られている気象データを基に、ドラムを覆うプラスチックハウスの容量やブロワ風量を検討した。これらの調査,実験及び計算結果を総合検討して乾燥装置の試作機を設計し製作を行った。試作機の性能を実験的に検討するため、装置各部に各種計測器を組み入れた。特にブロワ風量は装置の集熱及び乾燥性能に大きな影響を与えるため、計測精度を上げて測定する必要からデジタルマノメータを組み入れて風量測定を行った。乾燥実験を始める前に本装置の集熱特性を調べるため、日射量,装置各部の温度,風量,吸気及び排気温度などを測定した。この結果、ほぼ設計通りの集熱効率が得られることが判明したが、発生する温熱空気の総熱量は気象条件に大きく支配されるので、実用化するためには別途集熱コレクタを設置するか、ボイラ等の補助熱源を組み込む必要がある。現在、農業廃棄物として家畜糞尿を供試して乾燥実験を行っており、その成果については取りまとめて学会誌で発表する予定である。
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