現在一般に最も多く使用されている歩行用田植機は植付ける苗を機体上の苗載せ台に塔載し、それを1株当り数本ずつ圃場に植付けて行く。そのため苗を含めた機体重量は徐々に減少し、初期に設定した植付深さは次第に浅くなる。苗の重量は機体重量に比して2条植の場合で約20%であり、この重量変化が機体の姿勢のバランスを崩す原因となり、それによって植付深さが変化する。したがって、本研究は植付深さを一定にするため、苗の減少に比例した機体の姿勢を制御させることを目的としている。 そのため本研究においては、ばね懸架式歩行用2条植田植機に関して重錘移動によって機体の重心位置を一定にする方式を採用した。苗の減少量を電気信号に変換するため、苗載せ台に片側8個のリミットスイッチを取り付け、それによって重錘の位置を制御する回路すなわち姿勢制御装置を製作し、本年度は主にその制御装置の性能試験を行った。苗はモデルとしてゴム板で代用し、その重量は一般に使用されている苗マットとほゞ同重量の2枚併せて15Kgとし、それぞれ8等分した。測定項目は機体の傾き、機体とフロートとの連結点における前・後部分担荷重、機体の植付部の上下変位である。植付深さは浅植えから深植えに至る4段階とし、また耕盤までの深さは3段階に設定して前述の測定項目とを組合せて実験しした。その結果、姿勢制御の効果は計画当初考えていた性能とほゞ一致し、実用化の可能性は確められたが、機体重量が増加する欠点を生じるため、重錘の代りに予備苗を利用することが機体重量を軽くし、実用的と考えられる。 次年度は車輪上下自動制御式の歩行用田植機に関し、同式が装備している油圧装置と組合せて機体の姿勢制御すなわち電気・油圧サーボ系の制御システムを開発する準備を進めている。
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