研究概要 |
現在一般に使用されている歩行用田植機は, 苗載せ台に苗マットを搭載して, それを1株当たり数本ずつ植付ける機構を装備している. そのために苗を満載しているとき, 補給寸前とでは機体のバランスが崩れることによって走行性能に影響し, 植付精度をさらに低下させることにつながる. したがって, 本研究は, 苗載せ台苗の減少にも拘らず一定の作業姿勢を保って植付作業ができるよう, 機体の姿勢を制御するシステムを構築させることが目的である. 苗の減少による機体の姿勢を制御するために, 本研究においては電気・機械系としてのバランスウエイト移動方式を採用した. すなわち, 苗載せ台上の苗の減少を電気信号に置き換え, それによってモーターを駆動し, バランスウエイトを移動させる制御回路およびその装置を試作し, 実際の田植機に組み込んだ. 本研究と歩行用2条植を対象とし, 試作した姿勢制御装置の性能を調べるため, 苗の減少に伴う機体とフロート間の分担荷重の変動, 機体の傾斜角の変動および植付部近傍の上下変動等を測定した. その性能実験は台上試験装置を用い, 苗は苗マット1枚分に相当する板ゴムをそのモデルとして使用した. 実験条件は耕盤るでの深さを想定して機体の初期姿勢および植付深さ等を種々変化させて性能試験を行った. その結果, 姿勢制御の効果は各種実験において認められ, 実用化の可能性があることがわかった.
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