研究概要 |
1.かんきつ類等の大きな樹冠を有する果樹の果実収穫をロボットで行うため, 以前から直線動腕型のロボットの試作を行ってきた. 61年度から始まった本課題研究では, このロボットにより実際に果実収穫ができるようにすることを目的とし, マニピュレータの改良, 外界認識機能の試作実験及び果実収穫基礎実験を行った. 2.カラーテレビカメラを用いて色により果実を識別し, マイクロコンピュータに果実像を入力する装置を試作した. これを用いてステレオ画像法により果実の三次元位置を求める実験を行った結果, 良好な結果を得た. 3.果実収穫用にゴム製3本指と空気圧駆動のハサミを持つフレキシブルハンドを試作し, マニピュレータ先端に取付けた. このハンドは3本指で果実を把握し, ハサミで結果枝を切断するものである. 4.上記画像入力装置により果実位置を検出し, フレキシブルハンドにより果実を収穫する室内実験の結果, 3本指により果実を柔らかく把握し, ハサミで結果枝を切断する動作が行え, 損傷なく収穫できる見通しを得た. 5.上記のカラーテレビカメラとは別に, 果実認識に適した分光感度特性をもつ2板式テレビカメラを試作した. これは2枚の撮像素子に異なる波長の像を受け, 2つの映像信号を比較することにより果実像を得るものである. 撮像実験の結果, 良好な像を得ることができた. 6.ロボットハンドを果実に近づけるときに障害となる茎葉等を検出するため, アクティブレンジファインダ式の光電センサを試作した. 実験の結果, センサ前方の障害物の位置を検出することができ, 良好な結果が得られた. 7.今後, 実際の果樹園内での収穫実験を行い, 作業性能を調査する予定である.
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