農産物の形状及び品質の判別は、これらの映像パターンを解析することにより可能であることが示された。そこで種々の農産物の表面温度並びに形状を撮影し、構築した画像解析システムを用いて形状の特性を明らかにした。 里芋の植付け機の開発には、里芋の芽部を検出し、植付け時における里芋の姿勢制御を行うことが必要である。従って、構築した画像解析システムにプログラムを開発して里芋の芽部方向と位置の検出を試みた。芽部方向の検出では7mm以上の芽の長さの里芋(品種:赤芽大吉)に対し97%以上の確立で芽部方向を検出することが可能となった。また芽の位置の検出は2mm以上の芽の長さの里芋(品種:石川早生)に対して65%、また3mm以上の芽の長さの里芋(品種:赤芽大吉)に対して70%の確立で位置を検出することが可能となった。さらにこれらの結果をもとに、浜松フォトニクス社の1133-01型と1190-01型の2つのタイプのダイオードをそれぞれ8個用いて芽部検出器を試作した。この検出器は左右にそれぞれ4個のダイオードを有する光量比較回路で構成されており、左右の光量を比較することにより芽部方向の検出を行うものである。2〜58mmの芽の長さの石川早生と3〜27mmの芽の長さの赤芽大吉の2品種の里芋に対し性能を検討した。1133-01型は石川早生と赤芽大吉ではいずれも92.5%の芽部の検出率であったが、1190-01型は2品種ともに100%の検出率となった。従って、この検出器は1190-01型のダイオードを用いると実用に供するに十分であることが示された。 以上の結果より、構築した画像解析システムは農産物の品質判別を行うのに適するとともに、このシステムを用いて基礎的な解析を行うと種々の判別装置の開発に利用できることが示された。
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