研究概要 |
伊予柑貯蔵庫(47.2【m^3】,7.2ton)で、微気象環境と果実のアフターライプニングの関係、及び空調器の有効利用を検討するために調査・実験を行ない、その結果を考察すると次のとおりである。 1.庫内の温度は6.5〜11.0℃で貯蔵適温を維持しており、庫外温度に対してタイムラグ約48hr,振幅減少率0.56で、外気温の影響は受けにくいようであった。相対湿度は85〜95%の高湿で、換気不足を指摘した。 2.(1)果実の重量減少率は55日間,平均8.8%,相対的に予措追熟期に小さく、予措乾燥が不足していた。(2)糖酸比は環境条件に左右されることなく貯蔵経過に従い増加の傾向にあった。(3)果皮色は、収納時に着色(a値)が良好であると貯蔵中も進度が増した。赤橙色の発現が顕著であった上部は高温域,それが緩慢であった下部は低温域で、温度が着色に及ぼす影響は大きいと推察した。a/b値は貯蔵経過に従って指数曲線的に高くなり、前期の進度勾配が大きく、中・後期に緩慢となった。また、a/b値(A)は積算温度(Tn)とA=P・【Tn^q】の関係にあり、Tn=250℃前後で終了時着色の約85%に達することが明らかになった。(4)【CO_2】濃度は、貯蔵庫を全閉して4hrで2,500〜3,000p.p.mに達したが、その後は15hr,3500p.p.mでほぼ平衡状態になった。下部は上部より常に約1.2倍高濃度であった。 3.庫内に設置した空調器(トイレファン)は、強制対流による熱伝達で各部の温度を極力、適温で平均化させようとするものである。(1)送風量は約30【m^3】/hrで、吐出口から10cm点の風速は1.0〜0.8m/sec,1m離れると約0.1m/secの微風となるが、自然対流を促すには十分であると思われた。(2)実・空箱収納時ともに、空調器停止時の温度は上部が下部より常に高く、稼動時は上下の温度差が小さくなった。ファンの正・倒置利用を考案し、正置で下部の空気を上部へ、倒置で上部の空気を下部へ各々、送風させて、空気混合で低温化,高温化が可能になることを明らかにした。貯蔵期に応じた温度管理ができる。
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