研究課題/領域番号 |
61560302
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
内海 恭三 京大, 農学部, 助教授 (90033266)
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研究分担者 |
三宅 正史 京都大学, 農学部, 助手 (60093316)
入谷 明 京都大学, 農学部, 教授 (80026385)
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キーワード | 核移植 / ラットの前核期卵子 / UVのスポット照射 / 雌性前核と雄性前核 / サイトプラストとカリオプラスト / HVJによる融合 / 電気融合 |
研究概要 |
核を不活性化するための紫外線の有効照射線量とその後の胚発生能との関係が調べられた。ラットの前核期卵子の雄性前核に0.5〜15分間紫外線をスポット照射したところ、移植後の卵管において、5分以上の照射では全く卵子の発生能がみられず、0.5〜1分の照射では部分的な発生がみられた。このような結果から、細胞質に傷害を与えることなく、発生を完全に阻止するための核の不活性化には本条件下では5分のUVスポット照射が必要と思われた。しかも残った一方の核である雌性前核をサイトカラシンBで2倍体化した雌性発生胚はin vivoで胚盤胞期まで発育することが示され、この胚盤胞胚の染色体の2倍性が組識学的に確かめられた。雌雄両前核を吸引除去して得られたカリオプラストを、前もってUV照射で両前劾を不活性化したサイトプラストとHUJで融合させて再構成された核移植胚は卵管移植後のin vivo発育で胚盤胞期までの発育を示した。 カリオプラストとサイトプラストとの電気融合条件がマウス前核期卵子を用いて調べられた。HCG17時間を経て、雌雄両前核が近接したマウス前核期の雌雄両前核を15゜角の外径20μMφを持つガラスピペットで少量の細胞質とともに(カリオプラスト)吸い出し、残った細胞質(サイトプラスト)と分離した。マンニトールの非電解液中でこのカリオプラストとサイトプラストとを白金微少電極の先端で軽く押しつけて、矩形・単一波を20μ秒のパルス波では用いられた全ての電圧で両者は融合した(融合率38〜100%)が、1μ秒では44〜45Vの範囲で融合した。しかし、20μ秒融合区では1個のみが2細胞期に達したに過ぎないが、1μ秒では融合胚の殆んどがin vitroで2細胞までは発育したが、その後のin vitro発育はみられなかった。効率的な電気融合法の確立が急務である。
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