研究概要 |
1.実験動物卵胞卵に関する研究 32-34日齢のマウス卵巣における卵母細胞の構成を組織学的に調べるとともに, さまざまな発育段階にある卵母細胞の分離方法を確立し, 体外培養下における卵胞卵の成熟能力を明らかにした. 卵巣をカミソリで細断することにより卵巣にある卵母細胞の約30%が分離されると推定された. 卵丘細胞をもたない卵母細胞の直径を5μmごとにまとめると56-85μmの範囲に分布していたが発育を終了した卵母細胞を含むと考えられるステージ6以上の卵胞の卵母細胞の直径は70μm, を超えていた. 体外培養により直径66-70μmの卵母細胞は約80%のものにおいて減数分裂の再開始が観察されたが直径65μm以下の卵母細胞では全く減数分裂の再開始像は観察されなかった. 直径50-60μmの卵母細胞を酵素処理により卵胞から分離して培養したが減数分裂の再開始は誘起されなかった. またCaイオノホアや8-Br-cAMPを培養液に添加しても卵胞につつまれた直径50-60μmの卵母細胞の成熟能力を改良することはできなかった. 2.家畜卵胞卵に関する研究 カミソリで卵巣を細断し, 200μmのメッシュを通すことにより直径100μm以上の10-20個の卵母細胞が得られた. 体外で培養すると90%以上のものが卵核胞崩壊を誘起し, 60%以上のものが第1極体を放出した. カミソリで細断後ワーリングブレンダーで卵巣を破砕し, 200μmのメッシュを通すことにより30-50個の30μm以上の卵母細胞が得られたが, 多くは卵胞につつまれていた. 卵胞から遊離した直径90μm以上の卵母細胞において卵核胞の崩壊が誘起されたが, dbc AMPやホルボルエステル処理により前核を形成し, 卵割も観察され, これらの化学物質により発生能が改良されることが示唆された.
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