研究概要 |
1.鳥類の生殖器系は、哺乳類よりもステロイドホルモン支配を鋭敏に受け、家禽においては、影響の周期が長期である。このステロイドホルモンの生殖器系機能調節を、組織中のホルモンレセプター局在に着目して研究を企画した。 2.雌の鳥類器官としては、ニワトリ及びウズラの卵巣、卵管(膨大部,峡部,子宮部)を対象とした。雄の器官は、ウズラに特有な排泄腔腺を用いた。 3.雌において、卵巣、卵管組織に対するエストロジェンレセプター抗体(抗ヒト・ラットモノクロナール)結合の酵素抗体法(PAP)は、卵管において極めて特異的な局在を示した。すなわち、粘膜上皮ではなく、卵白腺、卵殻膜腺、卵殻腺(何れも結合織中に分布)の分泌細胞に、エストロジェンレセプターの存在を証明し得た。卵胞には証明し得なかった。 4.エストロジェン局在を蛍光抗体法(【E_2】-FITC)により検索した結果は、卵管粘膜上皮にエストロジェン結合が示された。プロジェステロンも類似の結果であった。 5.3と4との間には、成績の矛盾を認めるが、この解明は今後の課題に残す。 6.排泄腔腺についてはテストステロンの蛍光抗体法を行った。本腺は分泌物が多量で、反応を一定して得るには至らなかった。
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