研究課題/領域番号 |
61560318
|
研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
三浦 弘之 帯広畜産大, 畜産学部, 教授 (90003079)
|
研究分担者 |
泉本 勝利 帯広畜産大学, 畜産学部, 助手 (70003142)
三上 正幸 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (40003107)
|
キーワード | 低電圧電気刺激 / 熟成 / サルコメアの崩壊 / 30,000ダルトンバンド / ATPの分解 / 粘着性 / 弾力性 / L値 |
研究概要 |
屠殺後の家畜の枝肉を可及的に早く冷却することによって食肉の品質劣化を防ぐいわゆるコールドチェーンは、流通上の大きなメリットとして定着したが、一方においては急速に冷却されることによって食肉の熟成に関与する様々な酵素系が抑制され、例えばATPの分解が遅れるために死後硬直の最中に食肉を流通させるところから肉が〃かたい〃とか、充分に熟成されていないために〃うまみ〃に次けるなどと評価されるようになってから久しい。 本研究では、屠殺後の家畜に低電圧電気刺激を行って種々の酵素系を活性化させ、いわゆる熟成を人為的にコントロルしようというものである。 昭和61年度においては6頭の羊を供試動物とし、放血屠殺直後の屠体に直接電圧で3。2〜3。8Vで30秒、60秒、90秒、180秒と電気刺激を行い、その後の生化学的変化を精査することによって肉質の変換の機構を明らかにした。 電気刺激の時間を長くする程グリコリシスによるPHの低下やATPの消失が早くなり、その結果としてあらわれる筋肉の物性変化は、電気刺激時間が長い方が粘着性や弾力性が高くなる傾向を示した。この粘着性や弾力性の変化が、サルコメアの崩壊の程度と関係があるかどうかは、顕微鏡的観察の結果から明確な解答を引き出すことが出来なかった。しかし、30秒あるいは60秒刺激では電気泳動的に鮮明でなかった30,000ダルトンのバンドの生成が90秒あるいは180秒刺激では鮮明になった。このことは、食肉の熟成を促進するという意味において特徴的である。筋肉の色調変化はハンターの表色系によって表わした。刺激時間を長くするとL値が高くなるが、180秒という長い刺激は逆に低くなった。 これらの基礎実験結果をもとにしてホルスタイン肥育牛に対する電気刺激効果に発展させたい。
|