研究概要 |
近年, 産卵鶏およびブロイラーにおいて, 体脂肪が過剰に蓄積する傾向が認められ, 生産性の低下等により, 家禽産業上に多大の損失をもたらしている. また, 世界の趨勢として食物に対し栄養を意識した消費者が増加し, 低脂肪・低カロリー食品が望まれるようになってきている. この様なことから, 鶏の低脂肪化, すなわち体脂肪の蓄積制御が家禽産業並びに食品産業から強く要請されている. 本研究は, まず脂肪原始細胞の分裂の活性化時期を確認し, つぎに脂肪細胞中への脂肪蓄積を促進する栄養生理的条件を選定し, 最後にこれらに関して得られた結果に基づき, 鶏を成熟時まで飼育し体脂肪蓄積の改善に対する有効性を検討することによって, 鶏体脂肪の蓄積を制御する具体的方法を提示することを目的として行ったものである. その結果, 以下のことが明らかにされた. 1.鶏においては, 脂肪組織における脂肪原始細胞の分裂活性は, 孵化後8〜16日目に急激に上昇する. 2.孵化直後から8日齡までの給与飼料として, 卵用鶏に関しては70%炭水化物, 12%蛋白質配合調製飼料が, 肉用鶏に関しては75%淡水化物, 12%蛋白質配合調製飼料が, 細胞数が少なく, しかもその容積(すなわち細胞直径)の大きい脂肪細胞より成る脂肪組織を形成する. 3.肉用鶏と卵用鶏のいずれに対しても, 2.で選定された栄養生理的条件下で成熟時まで飼育することによって, 脂肪組織脂肪細胞数を減少させることが可能である.
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