卵白アルブミンをタンパク源として低亜鉛飼料を作製した。その低亜鉛飼料給与下の幼若および成塾マウスに放射性亜鉛を経口投与し、消化管吸収率および体内残留率を追跡した。放射能の測定には、本学RI総合実験室に設置されているガンマ線計測器(小動物用ホールボディカウンター)を使用した。なお、低亜鉛飼料の作製に際しては、本研究費補助金によって購入・設置されたV型混合機を活用した。 結果:幼若および成熟マウスとも、低亜鉛飼料給与群では正常亜鉛飼料給与群に比較して放射性亜鉛の体内残留率が著しく高くなり、生物学的半減期も延長された。 さらに飼料中の亜鉛濃度を変えて放射線亜鉛の消化管吸収率を調べた。幼若および成塾マウスとも、亜鉛濃度が高くなるのに従って吸収率が低下した。このことは安定体亜鉛が放射性亜鉛の消化吸収率を低下させ、その結果被ばく線量が低減されることを示唆している。 主要臓器における放射性亜鉛の取りこみを低亜鉛飼料給与群および正常亜鉛飼料給与群について経時的に観察した。低亜鉛飼料給与群では各臓器の放射性亜鉛濃度が高くなった。従って、亜鉛欠乏状態のもとで放射性亜鉛が摂取されると、各臓器の被ばく線量が大きくなることをこれらの結果は示唆している。 亜鉛欠乏状態下における放射性亜鉛の代謝については、ほぼ目的を達成したので、引き続き放射線感受性について研究を進める。
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