研究概要 |
1.ニワトリおよびウズラの視床下部におけるトリLHRHの免疫組織化学的研究を行い, 哺乳類LHRHと比較し, 免疫学的に異る点を明らかにした. また鳥の脳で発見されたトリGnRH-IIの抗体を用いて, GnRHIIの脳内における分布を明らかにし, これらは正中隆起から放出されないことを形態学的に明らかにし, 2.ニワトリの下垂体前葉の細胞発生について免疫細胞化学的研究を行い, 6種類の下垂体前葉細胞の発生時期と発生部位を明らかにし, 成体における細胞分布の偏りの成因を発生学的に明らかにした. 特にLH分泌細胞は最も早く, 孵卵4日の胚子のラトケ嚢の後突起にはじめて出現し, 孵卵8日で前葉全体に分布するが, FSH陽性細胞は孵卵8日の後部腺体にはじめて出現した. ACTH分泌細胞は孵卵7日の前部腺体の背側部に, TSH分泌細胞はその腹側部にはじめて出現し, 生後はともに前部腺体に局在する. GH分泌細胞は孵卵8日の後部腺体に出現し, PRL細胞は孵卵18日に前部腺体に出現し, ともに生涯, その葉に局在することを明らかにした. 3.ユビナガコウモリの下垂体前葉細胞について免疫細胞化学的研究を行い, 6種類の前葉細胞を同定するとともに, その分布や生周期に伴なう各細胞型の増減を形態計測によって明らかにした. GH細胞は年間を通じて大きな変動を示さないが, ACTH細胞やTSH細胞は冬眠中に増加した. LH細胞やFSH細胞は妊娠期や泌乳中に減少し, PRL細胞は著しく増加した. 4.ユビナガコウモリの視床下部における各種神経ペプチドの免疫組織化学的研究を行い, バゾプレッシン, オキシトシン, LHRH, ソマトスタチン, CRF, GRFなどの分泌細胞の局在と, その線維の分布を明らかにし, 性周期に伴なうそれらの消長を検討して, 下垂体前葉の支配機構を考察した.
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