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1986 年度 実績報告書

実験的マグネシウム欠乏症ラットの摘出血管の反応性と電解質動態との関連性

研究課題

研究課題/領域番号 61560345
研究機関鹿児島大学

研究代表者

宮尾 陟  鹿大, 農学部, 教授 (30041586)

研究分担者 石黒 茂  鹿児島大学, 農学部, 助手 (60041646)
西尾 晃  鹿児島大学, 農学部, 助教授 (90133181)
キーワードマグネシウム欠乏症 / 摘出胸部大動脈 / ノルエピネフリン / カルシウム / ヒスタミン
研究概要

実験的マグネシウム(Mg)欠乏症ラットでは、血圧が変動するといわれており、Mgが血管の内因性活性物質に対する反応性に関与している可能性が考えられる。本研究では、成熟雄ラットをMgの欠乏した合成粉末飼料(Mg含量0.001%)で30日間飼育し、飼育開始10,15,20および30日目に放血致死させ、胸部大動脈を摘出し、ラセン状条片を作成後、37℃で95%【O_2】-5%【CO_2】混合ガスを通気したクレブス-リンゲル液中に懸垂し、ヒスタミン,エピネフリン,ノルエピネフリンを累積的に作用させ、張力変化を圧トランスジューサを介して調べた。また、血漿および血管のMgとカルシウム(Ca)を測定した。1.血漿のMgレベルは、飼育開始5日目より有意に低下し、Mg欠乏30日目では対照値の約30%にまで低下していた。血管のMg量は、欠乏30日目では減少、Ca量は増加傾向を示した。
2.(1).摘出胸部大動脈の高K(15,30および60mMKcl)による収縮反応、ならびにエピネフリン(0.5〜30nM)による収縮反応はMg欠乏により有意な変化を示さなかった。(2).ヒスタミン(10〜1000μM)による収縮反応は、Mg欠乏15日目で弱くなる傾向がみられた。また、ノルエピネフリン(30nM)による収縮後のヒスタミンによる弛緩反応も欠乏15日目では抑制される傾向がみられた。(3).ノルエピネフリン(3〜30nM)による収縮反応はMg欠乏30日目では有意に増強された。この増強機序を解明する一手段として、クレブス-リンゲル液中のCaイオンを除去したときのノルエピネフリンによる収縮反応を調べたところ、Mg欠乏30日目の血管では有意に抑制された。
これらの成績から、実験的Mg欠乏により、低Mg血症が長期間にわたると、血管平滑筋細胞の細胞内のCaイオンの存在様式とCaイオンの膜透過機構に影響することが示唆されるので、Ca拮抗薬の効果を検討している。

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公開日: 1988-11-10   更新日: 2016-04-21  

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