研究概要 |
サケ科魚類由来ヘルペスウイルス(H-83株,OMV OO-7812株およびHerpesvirus salmonis)のin vitroにおける性状、病原性およびウイルス感染魚における抗体産生を調べた。これらウイルスはサケ科魚類由来株化細胞で増殖するが、サケ科魚類以外の株化細胞では増殖しなかった。H.salmonisの至適増殖温度は他の2種のウイルスに比べ低かった。蛍光抗体法により、ウイルス感染細胞に細胞内抗原および膜抗原が検出された。交差中和試験の結果、各ウイルスはそれぞれ同種の抗血清によってのみ中和され、異種の抗血清では中和されなかった。一方、ウイルス感染細胞より抽出したウイルスDNAの制限酵素切断パターンを比較したところ、H-83株DNAの切断パターンはOMVのそれに類似するが、H.salmonisとは明らかに異なるものであった。H-83株およびH.salmonisはヤマメおよびニジマス稚魚に致死的であった。OMVはヤマメおよびギンザケに致死的であり、ギンザケにおいては眼および口腟内外に腫瘍を形成した。ウイルス分離成績からOMVの標的臓器は肝臓と推測された。ヤマメに対する病原性は両ウイルスをin vitroで継代することにより低下した。ヤマメおよびニジマスの1年魚はH-83株に感受性を示さなかった。これらの魚はウイルス中和抗体を産生したが抗体価は比較的低かった。また、二次免疫応答が観察された。
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