研究概要 |
実験動物として5か月齢雄ハムスターを用い8群に分けた。 無処置の動物(C群)、5Gで5時間加速群(5G群)塩化カルシウム,燐酸ナトリウム,硫酸マグネシウム溶液を3日間腹腔内投与した後、4日目に5Gで5時間加速した動物(Ca-5G群、P-5G群、Mg-5G群)と各溶液を腹腔内投与したのみの動物(Ca群、P群、Mg群)の上皮小体を電顕的に観察して電顕写真上で形態計測を行った。ハムスターの血中上皮小体ホルモン(PTH)値を市販のPTH測定用キットを用いて測定する事を検討中であるが、国産のキットにハムスターPTHとの交差の可能性がみられることがわかった。次年度にはハムスターのPTH値をも加えて検討出来る予定である。 結果と考察:血清カルシウム値には各群間に有意差は認められない。抗ウシPTHウサギ抗体を用いたプロテインA金法による免疫電顕を行うと金粒子は分泌果粒と大型果粒と水解小体の上に見られたのでこれらの小体はPTHを含むことが証明された。Ca群とCa-5G群においてはゴルジ装置、粗面小胞体の減少が見られ分泌機能の低下が考えられる。Mg群においては対照群に比して特別な所見はみられなかった。P群、P-5G群、Mg-5G群においてゴルジ装置と粗面小胞体が著明に発達しており他の群に対して有意に高値を示した。さらに、拡張した細胞間隙に分泌物に似た物質を含む像がP-5G群、P群、Mg-5G群で増加傾向が見られた。リンは上皮小体機能を亢進させマグネシウムはカルシウムと同様に上皮小体に抑制的な影響を及ぼすことが言われるが、加重力環境下においてはマグネシウムは上皮小体機能に特異な効果を与えることがうかがわれる。62年度には加重力環境下で神経薬(プロプラノロール,イソプロテレノール,アドレナリン,ノルアドレナリン)を投与した動物について検討する。
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