1.副腎皮質細胞についてΔ^5ーステロイド3B水酸基脱水素酵素/イソメラーゼ(3BーHSD)とATP合成酵素の局在を電子顕微鏡レベルの免疫組織化学で検索した結果、3BーHSDは滑面小胞体膜に、ATP合成酵素はミトコンドリア内膜に一様に存在することが明らかとなった。これらの結果はプレグネノロンからプロゲステロンの合成が滑面小胞体で起こること、また、ミトコンドリア内膜の酵素はどれも均一に分布していることを示す。 2.卵巣におけるエストロゲン産生のメカニズムを知るために、エストロゲン合成酵素であるアロマターゼ、及びエストロゲンの前駆体であるテストステロンの合成に関与するステロイド17B水酸基脱水素酵素の局在をラットについて、光顕レベルの免疫組織化学を行なった結果、アロマターゼは大きい成熟卵胞の果粒層細胞と一部の黄体細胞に、17B-HSDは内卵胞膜細胞と間質腺細胞に存在することがわかった。すなわち、卵巣においては内卵胞膜細胞と間質腺細胞でテストステロンまでつくられ、これが大きい成熟卵胞の果粒層細胞にわたされてエストロゲンに変換される。 3.卵巣や精巣のステロイドホルモン産生細胞にも、肝細胞同様、解毒に関与かるチトクロームPー450が誘導されることを免疫組織化学的に示した。 4.細胞膜の裏打ち蛋白であるカルスペクチンの局在を甲状腺濾胞上皮細胞について免疫組織化学的にみたところ、正常状態では側面及び基底側の細胞膜に、TSHを投与してコロイド再吸収を促進した時にはこれらに加えて頂部側の細胞膜にも陽性の反応がみられた。カルスペクチンは細胞膜の支持だけでなくコロイドの再吸収にも関係すると思われる。 5.妊娠ラットの卵巣についてアロマターゼの局在を免疫組織化学的にみたところ妊娠黄体の細胞に強い陽性反応がみられた。妊娠黄体にもエストロゲンをつくる能力があると思われる。
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