研究概要 |
1.後冠状動脈の奇形の遺伝性について: 交配実験(ddYマウス)によるF1では、両親とも後冠状動脈を有する場合,雄親のみ有する場合,雌親のみ有する場合,両親ともに有していない場合で、後冠状動脈の出現頻度はそれぞれ67%,45%,46%,20%であった。従って後冠状動脈の出現は明らかに遺伝しており、また、これは伴性遺伝ではないことが明らかとなった。この系について交配実験を進め、F4で約71%、F5では3回の出産で85%(6/8,7/7,9/9)の高頻度に後冠状動脈の出現を見たつがいを得ることが出来た。 2.単冠状動脈奇形の遺伝性について: 単冠状動脈奇形仔を高頻度に出産したddYマウスの一つがいから、親の形質に基づく選択的繁殖を始め、現在、12世代目に至っている。出現頻度は世代と共に増加する傾向にあり、80%以上の奇形仔を出産するつがいを得ている。現在までの交配結果を総合すると、単冠状動脈奇形仔の出現頻度は、両親とも奇形である場合,雄親のみ奇形である場合,雌親のみ奇形である場合,両親とも奇形を有しない場合,それぞれ、奇形仔の出現頻度は、60%,50%,40%,20%である。このことから単冠状動脈奇形は遺伝することが明らかであり、それは伴性遺伝ではないと考えられる。 3.右冠状動脈のhigh takeoff奇形の遺伝性について: この実験は62年度に行う予定である。 2の実験の一部は解剖学会九州地方会(61年11月)で発表済である。
|