研究概要 |
1細胞-細胞間相互作用 初代培養肝細胞は薬物代謝・代用臓器等への応用の可能性から多くの研究室で培養法の検討がなされている. しかし肝細胞単独の培養では10日以上の培養は不可能である. 我々は非実質細胞との混合培養によって2ケ月以上の長期間肝細胞を培養できることを明らかにした. この長期培養された初代培養肝細胞はアルブミン産生能・薬物投与によるP_<450>の誘導といった諸機能を有し, 超微形態学的にもin vivoの肝細胞をそれ程異なっていない良好な形態を維持していた. そこでこの肝実質細胞の長期維持を可能ならしめる細胞-細胞間相互作用を解析することを試みた. 1)肝実質細胞と非実質細胞を離した状態で混合培養しても肝実質細胞の長期維持は可能である. 2)両者間の相互作用には培養開始後3日以内で起こるものと, 3日以後におこるものの2種類が存在する. 3)パルスラベルを非実質細胞に施してから肝実質細胞と組み合わせるとラベルは肝実質細胞系に移動する. その移動物質は分子量1万以上のタンパク質成分である. 以上のようにその相互作用の本体はタンパク性の可溶性成分であることをつきとめた. 目下その因子の精製に着手している. 2細胞-基質間相互作用 線維芽細胞をコラーゲンゲル内に封じ込んで培養すると, 細胞がコラゲン線維を引き寄せ再配列させ腱や靭帯のような構造をとるようになる. この系を利用して細胞と基質の相互作用の解析を行った. 今回Dimethyl Sulfaideを用いての解析を試み, DMSOが細胞内骨格線維の乱れ・コラーゲン線維とファイブロネクチンレセプターの結合部位の傷害を引き起こすことによって, 細胞によるコラーゲン線維の再配列を阻害することを明らかにした.
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