電子伝達フラビン蛋白(ETF)のα-サブユニット、β-サブユニット、FADの解離会合機構を調べた。FADとアポ蛋白との再結合反応を蛍光分光法により、速度論的・平衡論的に検討した。アポ蛋白保存液(10^<-4>M程度のかなり高濃度のもの)を目的の濃度に希釈し、それに少量のFADを加えて(アポ蛋白大過剰の条件)反応させた。アポ蛋白とFADの結合反応は凝一次反応を示した。アポ蛋白希釈直後のみかけの速度定数(Robs)はアポ蛋白の濃度に比例して直線的に増加した。次にアポ蛋白希釈後ある一定時間放置した後、FADを加えてRobsを測定した。Robsは放置時間がながくなるに従い減少し、やがて一定の値におちついた。また低濃度に希釈するほど、Robsは減少した。この現象は蛋白濃度を低くするほど、平衡状態でFADと直接反応する物質の割合が減少することを示すものである。これはアポ蛋白の二つのサブユニットαとβが可逆的に解離会合し、その二量体がFADと結合することを示唆している。すなわち、αサブユニット、βサブユニット、FADの間には下記のような二つの平衡系が存在するものと考えられる。
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