研究概要 |
1.Epo測定のための血漿前処理法の再吟味: 前年度, マウス血漿中のコロニー形成阻害因子を有効に除去し, かつEpo活性に何ら悪影響を与えない方法として, 血漿のクロロフォルムー透析前処理法を確立した. 今年度, アニオン交換カラム法を含めさらに多数の方法について吟味し, 昨年度の結果を再確認した. 2.ハイポキシアと血漿Epoレベルとの定量的, 時間的関連: (1)中等度低圧曝露: マウスを350Torr(PIo2=63Torr)の低圧に, 30分〜10日おいた場合の血漿Epoレベルの推移をみた. Epoレベルは6時間後より急速に上昇し, 2〜4日後にわたりプラトー(曝露前値の約4倍)を形成した後, 徐々に低下したが, 10日後でなお曝露前の約2倍の高値を維持した. (2)高度低圧曝露: マウスを200Torr(:PIo2=32Torr)の低圧に1時間〜10日曝露した場合, 1)と同様に血漿Epoレベルの急速な上昇がみられた. しかし, 経過が全体として加速され, 1・1/2〜2日後に曝露前値の約5倍に達するプラトーを示した後, 4日後には曝露前値の約2倍のレベルまで低下した. 3.シアン酸投与マウスにおける血漿Epoレベル: 血漿酸素親和性の上昇は生体内酸素輸送の不全をもたらし, 最終的にハイポキシア状態を招来すると言われているが, 必ずしも一致した結論に達しているわけではない. そこでハイポキシア有無についての鋭敏な指標である腎でのEpo生成を目安に, この問題の検討を企図した. その手始めとして, シアン酸素投与によるマウス血液酸素親和性の長期持続的上昇手技の確立を図った. その結果, 0.5%NaOCNを飲用投与した場合, 飲用日数と共に酸素親和性は次第に上昇するが, 8〜10日後に上限に達し, 以後1ケ月にわたりほとんど変化しないことを見出した.
|