研究課題/領域番号 |
61570050
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
榎 泰義 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00075029)
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研究分担者 |
大賀 好美 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (70094539)
坂田 進 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (20142383)
上月 久治 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (20175326)
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キーワード | エリスロポエチン / 血漿 / ハイポキシア / 血液酸素親和性 / マウス / コロニー形成阻害因子 |
研究概要 |
1.低圧負荷によるマウス血漿Epo値の推移 (1)持続的低圧暴露実験:350Torr(6.050m高度相当)または200Torr(9.930m高度相当)に10日間連続暴露した場合のEpo値の時間的推移につき、昨年度にひきつづきさらに検討を加えた。その結果、Epo値は暴露の6〜12時間後により上昇しはじめ、2〜3日後に最大値(負荷前値のそれぞれ4.1および5.2倍)に達した。以後、同じ強さの低圧を持続しているにかかわらず徐々に低下した。 (2)間歇的低圧暴露実験:200Torr下に20時間、平圧下に4時間という間歇的負荷を10日間つづけた場合も、血漿Epo値の推移は(1)の場合と類似し、3日後にピーク(負荷前値の4.3倍)、以後ゆるやかに低下した。 2.低圧負荷による血漿Epo値の推移と血液O_2親和性(P_<50>)の関連 昨年度に確立したシアン酸飲用法により血液O_2親和性を上昇させたマウスで、低圧負荷によるEpo推移をみた。350Torr連続負荷の場合、高O_2親和性血マウスではEpo上昇のみられなかったのに対し、連続〜間歇200Torr負荷では正常マウスでみたのとほぼ同様なEpo上昇がみられた。この事実は、血液O_2親和性高進(P_<50>で約10Torr)が、350Torr程度のhypoxic hypoxiaに対しては抗hypoxia作用をもつことを示唆する。 3.低圧負荷による血漿赤血球系コロニー形成阻害因子活性の消長 マウス血漿中に存在する赤血球系コロニー形成阻害因子活性の測定法を案出し、350Torr下の正常マウスにつきその推移をみた。その結果、Epo上昇とは相反する形で阻害因子活性の低下が認められた。このことは、生体における赤血球生成調節に際して、正(促進性)の因子であるEpoのみならず、負(抑制性)の因子にも注目する必要のあることを示唆する。
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