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1986 年度 実績報告書

ラット脊髄における歩行発現機構の発達の生理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 61570059
研究機関筑波大学

研究代表者

工藤 典雄  筑大, 基礎医学系, 助教授 (60014239)

キーワードN-Methyl-D,L-aspartate / ラット / 脊髄 / 歩行 / リズム形成 / 発達 / 摘出標本
研究概要

胎生一新生ラットの脊髄あるいは脊髄・後肢摘出標本を用いて、興奮性アミノ酸の一種であるN-methyl-D,L-aspartate(NMA)の効果について調べ下記の結果を得た。
1.新生ラットの標本においてNMAは両肢の歩行様運動を誘発することを初めて明らかにした。またこの効果は後根を切断しても影響を受けないこと、リズム運動の頻度はNMAの濃度に依存すること、更にNMAの選択的な拮抗薬である2-amino-5-phonovaleric acidの投与によって効果が消失すること等から、NMAが哺乳動物の脊髄内リズム形成の神経回路に直接作用することが強く示唆された。
2.NMAによって誘発される伸筋と屈筋の交代性リズム運動は脊髄を正中で左右に切断しても出現した。しかし、切断前に観察された伸筋と屈筋の活動時間の非対称性は消失し、リズムの頻度も著しく減少した。同様のリズム運動は一側の下部腰髄・後肢の標本でも観察された。これらのことからリズム形成の基本機構は吻尾方向に限局した一側の脊髄内に存在すること、また両側の脊髄の機能結合がリズム運動の周期やパタンの形成に重要であることが結論された。
3.同一標本における筋電図と腰髄前根記録の比較から後肢のリズム運動は両側の腰髄前根の交代性斉射と対応することが明らかにされた。NMAの投与による前根で観察される運動ニューロンの律動的発射は胎生15.5日以後の標本で認められた。しかし、胎生15.5日と胎生16.5日では左右の前根に同期した斉射が出現し、新生ラットにおけるような交代性リズムの出現は胎生17.5日に初めて観察された。今後、脊髄における抑制路の発達と上記のリズムのパタンの変化との対応関係を明らかにする予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Kudo,N.;Yamada,T.: Jpn.J.Physiol.48. 241 (1986)

  • [文献書誌] Kudo,N.Yamada,T.: Neurosci.Lett.(1987)

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公開日: 1988-11-09   更新日: 2016-04-21  

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