研究概要 |
サル用に水と食塩の弁別go-no goタスクを開発した。このタスクでは、水と食塩水(0.03M,0.1M,0.3M)がランダムにサルの口腔内に入り、食塩水であればサルはレバーを押し(go)報酬としてショ糖をもらい、水のときはレバーを押さない(no go)。また罰としてキニーネを用いた。味刺激の投与はMSXマイクロコンピュータで制御した。学習の成立したサル2頭を用い、大脳皮質前頭弁蓋部付近よりニューロン活動を記録すると共に咬筋の筋電図を記録し、サルの表情と共にビデトカメラを介してテープに記録した。 用いた3基本味のうち、サルはキニーネに対してgapingなどの得異的な拒否的表情を呈したが、水や他の液に対しては主に摂水を行ない、溶液に対し特異な表情はみられなかった。1頭のサルは飲み口をなめる動作をするものもあったが、味刺激特異性はなかった。咬筋活動はこれらの行動に対して異ることはなかった。大脳皮質ニューロンの活動パターンは、数種類に分類できた。大部分のものは、レバー押しの前後に放電数が増加し、食塩の濃度の増減と共にに放電数が変化した。少数のものは逆に水や食塩により放電数の減少が生じ、時間の経過と共に放電数が増加した。また、報酬や罰刺激に応答するものも数例みられた。 1頭のサルについて、慢性に電極を咬筋,顎二腹筋,大頬筋,口輪筋に装着し、四基本味や水の摂取時、固型飼料やサツマイモ小片の摂取時の筋電図活動とサルの表情をビデオに記録し解析した。キニーネに対するgaping時に顎二腹筋と大頬筋が特異的に活動した。咀しゃく時には主として咬筋と顎二腹筋が活動し、側方への咀しゃく運動時には口輪筋も活動した。口輪筋は吸啜時にのみ特異的に活動することはなかった。
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