研究概要 |
ミニコンピュータによる行動ならびに神経生理データの解析プログラムを作成し, 昨年度水と食塩の弁別GO-NOGOタスク中のサルの大脳皮質前頭弁蓋・島皮質ニューロンから記録したデータを解析した. 2頭のサルから弁別行動に関連あるユニット156個を見出した. 水や食塩のキュー刺激で活動の増大するもの26個, キュー刺激・報酬のショ糖・罰のキニーネなど液のいかんに拘らず活動の増えるもの74個, 液の種類によって活動が異なるもの33個(このうちショ糖で増大するものが31個と最も多い), レバー押しの開始時や期間中に活動するもの8個, タスクトライアルの間で増加するもの15個があった. キュー刺激のみに応答するものやタスクトライアル間で活動の増加するものはアテンションに関与したニューロンであり, 液のいかんに拘らずそのオンセットで増大するものは触ニューロンであり, 液の種類によって活動の異なる33個が味覚に関係すると考えられる. ただし大部分はショ糖に応答しているので, これらのニューロンの一部は甘味ではなくて報酬に応答している可能性もある. 一方, NIH基準を満足するようなモンキー・チェアーを作成し, 毎日ケージから2頭のサルをモンキー・チェアーに移して座らせ, 正規の飲み口から水を飲ませる訓練を行った. 試行錯誤で行っているためこの訓練に2〜3ケ月を費やした. 現在, レバーを押して水を飲む訓練を行っているところで目的とした四基本味と水の弁別学習を行わせるところまでにはいたっていない. 最終年度には四基本味と水の弁別学習をサルに行わせつつ, その大脳皮質前頭弁蓋部からタスク関連のニューロン活動を記録できるように訓練を行っている. また, サルの弁別行動を制御するためのマイクロコンピュータのソフトも一部開発を行った.
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