研究概要 |
本年度は計画最終年として総括を予定していたが従来の実験を継続し、まとめを延期した。それは成果を1989年5月にWashington,D.C.で開かれる第60回宇宙医学会年次総会に報告、原著をその機関紙に発表するためである。原著のタイトルはChange of synergy in hip flexor musales during isometric contraction under weightlessness simulated by water immersionである。 (]SY研究の目的●・>(〕SY水中での体力トレーニングでは浮力のため姿勢の構え、筋協調が陸上とは異なると考え、この点を節電図を用い検討した。 (]SY方法●・>(〕SY被検者(成人男子)はタンクの床に直立、肩までの水浸状態で右股関節を120°の屈曲状態に保つよう右大腿を挙上、膝関節は屈曲、下腿は垂直に下げる左片足立ちの姿勢をとる。挙上した右脚は不安定な内外転を防ぐため垂直棒を立ててこれに沿わせる。こうして、被検者はそれ以上の屈曲努力をし、股関節筋群の等尺性収縮を起こさせる。実験はそのときの腸腰筋、大腿筋膜張筋、縫上筋、大腿直筋の放電量と張力との関係を考察した。 (]SY結果●・>(〕SY1)、水浸時はどの筋も少ない放電量で陸上と同張力を発揮した。これは水中では大きな張力発揮の可能性を示唆し、その通りであることを認めた。2)、筋放電量一張力曲線は腸腰筋と縫工筋ではほぼ平行し、他は水浸でより低い傾向を示した。つまり一部の筋では放電量低下のみでなく、その様式も異なる事を示唆した。3)、本年度は特に径100μmの銀線埋入電極で神経筋単位活動を解析、少なくとも最大随意収縮の40%までの収縮では安定記録を可能にし、上述の結果を確認した。腸腰筋の解析に特に有効であった。 (]SY結論●>・(〕SY上述の結果は従来注目されていなかった現象を明らかにしたもので、水中での体力トレーニング時の運動処方に有用である。また宇宙医学の無重力下の処方にも有用である。
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