研究概要 |
1.ラット胎仔骨格筋の筋芽細胞を培養し、myoballを形成させ、whole-cellclamp法により膜電位依存性Naチャンネルを流れるイオン電流を測定した。 2.神経支配のない培養ラット骨格筋には、低濃度のフグ毒およびイモ貝毒素で阻害されるNaチャンネルと 高濃度のフグ毒により阻害されイモ貝毒素で阻害されないチャンネルの2型が約半分ずつ存在することがわかった。 3.4日から10日培養したmyoballは、成熟ラットの3分の1にあたる250pS/平方μmのNaイオン伝導度を持つことがわかり、Naチャンネル分子の密度は15個/平方μmと計算された。またチャンネルの活性化,非活性化の膜電位依存性は、成熟筋に較べ 10mVから20mV正の電位側へ偏っていることがわかり、発達に伴う または環境の違いによる変化が示唆された。 4.生後の発達過程におけるチャンネルの性質を調べるために、生後3-25日のマウスの後肢指の骨格筋線維をコラゲナーゼ処理により単離し、whole-cell clamp法でNa,K,Caの各イオン電流を測定した。 5.Naチャンネルの活性化,非活性化の膜電位依存性は、生後約2週間目まで徐々に負の電位側に移動し、成熟筋の値に達することが示された。成熟筋のNaチャンネルはすべて低濃度のフグ毒で阻害されると報告されているが、生後のフグ毒、イモ貝毒素感受性の変化について 今後の研究を予定している。 6.上記5の方法で取り出した骨格筋の 膜電位依存性の遅延整流K電流を測定した。筋膜の単位面積当りのK電流は加齢とともに増加し Kチャンネル分子の成長にともなう密度増加が 示唆された。またチャンネル活性化の膜電位依存性は加齢に従い負の電位側に移動した。 7.同様に筋線維のCa電流をも測定した。今後Caチャンネルの生後発達について調べ、他のチャンネルの性質,薬物感受性の変化について研究を進める予定である。
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