研究概要 |
1.生後0日から30日のマウス後肢より単離した短指屈筋において, Whole-cell膜電位固定法を用いて, 2種のCaチャンネル電流, 2種のNaチャンネル電流を記録した. 2.誕生直後の筋は, 膜電位依存性の一過性Caチャンネルをもち, このチャンネルは生後17日までに消失した. 3.単位膜面積あたりの持続性Caチャンネル電流は, 生後30日の間に約4倍に増加した. 4.支配神経の切断は, 一過性のCaチャンネルの消失に影響を与えなかったが, 持続性のCaチャンネルの増加を抑制した. 5.また 誕生直後の筋はイモ貝毒素, Geographutoxin-感受性および-抵抗性の2種の膜電位依存性Naチャンネルを持っていた. 6.抵抗性のNaチャンネルは, 生後16日までに消失したが, 感受性のチャンネルは生後20日で約15倍に増加した. 7.生後4日目に支配神経を切断すると, 抵抗性のチャンネルはその後増加し, 感受性のチャンネルの増加は促進された. 8.生後12日目に支配神経を切断すると, 抵抗性のチャンネルは増加したが, 感受性のチャンネルの増加は抑制された. 9.抵抗性チャンネルの非活性化過程は, 加齢とともにゆっくりになった. 10.これらの結果は, 生後の筋の発達過程で 上記4種類のイオンチャンネルがともに, 密度, 性質に大きな変化を受けるが, そのメカニズムは チャンネルごとに 異なっていることを示唆する. 11.今後 これらのチャンネルの筋発達における役割, 上記変化を引起こす生体内のメカニズムについて調べたい.
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