研究概要 |
黄変米から抽出され、精製構造決定されたクロールペプタイドは筋から得られたアクチンに対してキノコ毒ファロトキシンと同様に働くことがわかった。すなわちアクチンフィラメントを分断する條件、高濃度KI下でもクロールペプタイド存在下でフィラメント形を保った。 我々は平滑筋からCa存在下でアクチンに結合し、その長さを調節する因子(アクチン長さ調節因子,ALRと略す)の精製に成功したが、アクチンにALRを10対1に混じ、Ca濃度を【10^(-4)】モル下でアクチンフィラメントを切断する條件下に【10^(-5)】モルのクロールプロマイドはこの切断作用を抑制することがわかった。 小腸粘膜微繊毛にはアクチン切断因子ビリンが存在し、Ca存在下で繊毛内アクチンフィラメント束が切断される為、微繊毛が縮少変形することが、ブラッシュボーダー標本で確かめられた。一方あらかじめクロールプロマジンを存在させると、切断作用が抑制されるのでCaの存在下でも微繊毛の変形が生じないことが電子顕微鏡を用いた結果明らかになった。 一方、ALRの抗体をつくりIg Gに精製して小腸微繊毛への存在を調べたところ、微繊毛の突端と根部が良く染った。免疫転写法を用いてSDSPAGEで調べたところALRと同じ位置で染った。この分子量は明らかにビリンのものより低い(84Kダルトン)ので、ビリンを精製してSDSPAGEで調べたところ明らかに報告されていたビリンのものよりも低く、ALR抗体で染った。 ビリンとALRの相同について、非常に問題が残るので今後詳しく検討していきたい。
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