ラットのリボソーム蛋白遺伝子は、各々15〜20のProcessed Pseudogeneを持っている。本年度は、このように多数の偽遺伝子の中から、発現している本来の遺伝子をクローニングすることを目標として実験を進めた。 ラット遺伝子ライブラリーよりcDNAクローンをプローブとして、リボソーム蛋白S11、およびL35aの遺伝子クローン各々数十種を得た。各遺伝子クローンのDNAとcDNAとの混成分子の熱安定性の検討や各々のクローンの制限酵素切断部位地図の作成、塩基配列決定などを行った。また、このように多数のProcessed Pseudogeneの中から、本来の遺伝子を探り出すための、最も一般的に適応可能な方法は、イントロン部分をプローブとすることであると考えられていることから、核内のmRNA前駆体のcDNAクローニングを進めている。 一方、鳥類以下ではリボソーム蛋白遺伝子の偽遺伝子は存在しないことが判明したので、鶏のリボソームた蚤白遺伝子クローニングを試みることにした。プローブとして、ラットリボソーム蛋白L37aのcDNAとのクロスハイブリダイゼイションを利用して、鶏L37aのcDNAクローンを得た。現在、鶏のDNAを複数の制限酵素で完全分解して、直接プラスミドに組み込むquick cloning法によって遺伝子クローニングを行っている。 本年度は、このような方法論的検討や、プローブ、ライブラリーの作成に多くの時間を費やし、発現している本来の遺伝子のクローン化には至らなかった。
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