研究概要 |
ラット肝リボソームにリシン又はα-サルシンを処理したときに、リボソームの60S亜粒子が不活性化されるが、この際にリボソーム蛋白のコンホメーションがどのように変化するかを^<14>C-又は^3H-N-エチルマレイミドを用いて検索を行った。 リボソームをリシンで処理したのち、^3H-又は^<14>C-N-エチルマレイミドにより二重標識法により調べたところ、L14タンパクが特異的に標識の程度が減少し、一方α-サルシンで処理したときには、L3、L4タンパクが特異的に標識の程度が減少した。このことは、これら毒素が28S>RNAの特異部位を切断することが既に知られており、その結果としてリボソーム蛋白のコンホメーションを変えることを示している。又、リボソームをリシンとα-サルシンとを同時に処置する時にはL3タンパクのエチルマレイミドによる標識がα-サルシン単独処置に比べて、より大きく減少していることがみられた。 これらL3、L4、L14タンパクはいずれも60s亜粒子において近傍に位置するタンパクであり、又、40S亜粒子との献合界面に近くタンパク生合成におけるパプチド鎖延長反応にま摩Asiste,P-siteを占めている。従って、これらタンパクのコンホメーションの変化がリボソームのタンパク合成活性に重大な障害をもたらし、失活することが示唆された。 又、リボソームをリシンで処理したのち、α-サルシンで処理すると28srRNAの切断が著しく容易になること、60s亜粒子をα-サルシンで処理したのちEDTAを加えて庶糖密度勾配遠心を行うと、5SRNPの外にα-フラグメントとL3、L4タンパクを含むRNA-蛋白複合体が遊離することが認められた。 この複合体はリボソームにいて重要な機能部位と考えられ、更に検索中である。
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