研究課題/領域番号 |
61570148
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
立石 カヨ子 福岡大学, 医学部, 助手 (60179728)
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研究分担者 |
黒木 政秀 福岡大学, 医学部, 助教授 (40122692)
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キーワード | D-GL / 特異抗ニューロキニンA抗血清 / 特異抗ニューロキニンB抗血清 / 低交差反応性抗体産生クローンの選択 / ニューロキニンAの脳内分布 / ニューロキニンBの脳内分布 / 高血圧とニューロキニンB |
研究概要 |
本免疫方法で得られた抗neurokininA(NKA)抗血清のneurokininB(NKB)との交差性は12.6%と従来の免疫方法で得られた抗血清(NKBとの交差性は129%)に比べ特異性が高かった。同様に、本法で作製された抗NKB抗血清の特異性は極めて高く、NKA及び種々の関連ペプチドとの交差性は0.001%以下であった。これらの特異抗NKA及び抗NKB抗血清を用いて確立されたラジオイムノアッセイ(RIA)によりラット脳及び脊髄での両ペプチドの濃度を測定した。その結果、NKAは延髄、視床下部、線条体、中脳及び脊髄に高濃度で存在し、NKBは視床下部と脊髄に高濃度で存在した。又、NKA/NKB比は各領域で異なり、延髄、線条体、中脳において高く、海馬においては両ペプチドは同濃度で存在した。組織の水抽出と酸抽出では、抽出されるNKA及びNKB様免疫活性物質(人工)は同じであったが、酸抽出の方が抽出効率は高かった。両RIAによって測定される物質をHPLCで確認した結果、NKA-LIとしては、合成NKAと分子内にNKAのアミノ酸配列をもつneuropeptidekの溶出位置にピークを認めた。NKB-LIは合成NKBの溶出位置にのみピークを認めた。従来の抗NKA抗血清を使った場合は、上記以外にもNKBの位置に、又、従来の抗NKB抗血清ではNKAの位置にもピークを認めた。このように、交差性抗原とD-GL(D-グルタミン酸とD-リジンの重合体)の結合物での処置を伴う免疫方法により、NKAとNKBそれぞれに特異的な抗血清を得る事が出来た。さらに、パンチ法による採集した各部位をこれらのRIAで測定し、両物質の中枢神経系での詳細な分布を明らかにした。又、孤束核へのNKB投与後の血圧上昇、血圧反射をつかさどる求心性神経の切断により孤束核でのNKB量が不変な事及び高血圧ラット(SHR)の視索上核で有意にNKBが高い事からNKBは孤束核から視床下部への経路を介し、バソプレシンを遊離して血圧を上昇させるのではないかと示唆された。
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